あけましておめでとうございます!
2021年ですか・・・ 随分放置したものです笑
昨年は流行の疫病で免許取得指南ブログみたいになってましたが、本来の趣旨のブログの記事も書きませんと飽きられてしまうので笑
お久しぶりです。 柴咲コウタです笑
今回は、相変わらずの人気記事である「VO2MAXは高ければいい?最大酸素摂取量の誤解」にも多数寄せられていますが、よくある質問と回答をしてみたいと思います。
Q1:VO2MAXはどれくらいの期間で、どれほど上がりますか?
A1:人によりますが、大体、「3~6か月で2~5ml/kg/min」程度です。
希望を感じましたか?それとも絶望を感じましたか?
人によると書きましたが、トレーニングの段階や準備状況、影響する要因で大きく変わります。
例えば、冬季練習で低強度のトレーニングをしっかりと量をこなして遅筋繊維を鍛えた選手が、シーズンに向かって強度が上がってくると、一気に高まります。
コウタの経験上、2か月で10ml/kg/min上がりました。
これには大きく2つのからくりがあります。
A:体脂肪が減り、体重が減るということ。
B:筋量が増えること。
VO2MAXと呼ばれている最大酸素摂取量の単位は「ml/kg/min」です。
この単位の意味は、一定時間(この場合1分)で体重(1kg)あたりに摂取できる酸素量(ml)ということです。
逆に、体重を掛けると絶対値(1分あたりに摂取できる酸素量)が出てきます。
仮に、VO2MAXが「55ml/kg/min」の「体重60kg」の人が居たとすると、最大酸素摂取量の絶対値は
55[ml/kg/min]× 60[kg]= 3300[ml/min] = 3.3[ℓ/min]
となります。そして、これから次のような場合を考えます。
体重が5kg減った場合 → 3300[ml/min]/ 55[kg]= 60.0 [ml/kg/min]
体重が5kg増えた場合 → 3300[ml/min]/ 65[kg]= 50.8 [ml/kg/min]
つまり、単純な計算に掛かる体重の増減がVO2MAXに大きく影響すると言えます。
コウタ含め、ダイエッターやシリアスでないランナーは、大抵の場合、脂肪を多く抱えており、それが体重比のVO2MAXの低下を招いていることが多いです。 そのため、我慢して走り続けて脂肪という荷物を消すことができればできるほど、一気に跳ね上がる可能性があります。
が、短期間で落とせる体重や体脂肪率なんて限られているので、大体、「3~6か月で2~5ml/kg/min」程度の変動=体重によって変化する量 しかありません。
一方で、大抵の選手や市民ランナーの方でシリアスランナーとして超速い方々は、脂肪が少なく、均整の取れた細身でしっかりとした筋肉が付いているため、余分で削ぎ落とすことのできる部位というのがありません。 普通に考えれ至極当然なことなのですが・・・これがスランプを引き起こします。
中学・高校生の長距離選手、特に女子で多い事例が、指導者から「太った」、「痩せろ」と言われた選手です。
脂肪が多いと物理的に重くなり、動きが ”もったり” してしまい、腕や脚スイングの切り替えの時間や接地時間が伸びてしまうため、いわゆる「キレ」が無くなります。
それが「動きの悪さ」、「タイミングやリズムのズレ」につながり、結果的に「効率の悪化」を引き起こします。 審美性的にも「重そう」、「太い」と見えてしまい、実際よりも悪く評価されがちです。
実際には練習態度は何も変わっていないにも関わらず、たまたまテンションがいつもより高いとか、疲労から限界を迎えてトレーニングを中断しただけで「手を抜いている」と評価をされ、「最近、気も体もたるんでるぞ!」などど言い放つコーチも多いようです(目撃体験あり)
ちなみに、見た面を批評したり、よい見た目を強要することは「セクハラ」、「パワハラ」に該当するので、コーチのみならず選手間やサークル仲間内、異性間はもちろん、同性間でも問題になるので気を付けて!
多少、脱線しましたが、そこまでシリアスにやっている選手が更に体重を落とすことは可能です。例えば、水を抜く、宿便を出し切る、筋肉を落とす、髪を切るなど・・・
しかしながら、そうした努力もむなしく、その減少幅に比較して健康や精神を崩しやすく、数値を達成したとしても良い結果を生むことは大変難しいと考えるべきでしょう。
人間の体は多くの要因で構成されているため、数値と実際は完全に1対1で直結しているわけではありません。
じゃあ、どうするのか? と考えた場合に、B:筋量が増えることというアプローチになります。
脂肪の1kgも筋肉の1kgも同じ1kgなので、例えばどちらで増減したとしても数値上は変わらない結果を生みます。
しかし、実際には筋肉はエネルギーを代謝をし、物理的に力を生み出す役割があるため、筋肉の1kgの増減がエネルギー消費量と物理的に発生する力(例えば地面を蹴る筋力力や体を動かしたり固定したりする筋力)にダイレクトに影響します。
(脂肪は、燃料貯蔵と衝撃吸収以外にはあまり効果はありません≒お荷物)
そのため、体重比のVO2MAXが低くても、絶対値で計算すると案外、シリアスランナーばかりでなく、そこそこ速い人と同じくらいである可能性があります。
特に、除脂肪体重(体重から体脂肪率分の脂肪の重さを引いた値)をVO2MAX体重比に掛けると、単純に筋量に依存するのでポテンシャルを感じられて結構面白いです。
ただ、筋肉は付きやすい人は比較的簡単に付きますし、付きにくい人は付きにくいです。
そして、付きやすい人はどちらかというと短距離タイプで、付きにくい人は長距離タイプです。
そのため、「速くなるには筋トレが必要」と言われる一方で、「筋肉を付けても重くなるだけで速くならない」とも言われるのです。
ではどうするか?
結構答えは簡単で、「筋肉を付けるトレーニングと平行して持久系のトレーニングをする」です。
大抵の場合、(審美性と相まって効果が実感しやすい)筋トレはするけど、持久系はきついし、効果の実感が無いから敬遠するため、「筋肉を付けても重くなるだけで速くならない」のです。
こういったトレーニングは中距離の準備期で特に顕著なのですが、ウエイト等で筋トレに取り組みながら、別なセッションあるいは曜日にはゆっくり長時間走るようなトレーニングを行います。
こうすることで筋量と筋力を向上することを狙いながら、重くなったり瞬発力の向上で落ちやすい持久系を補います。(持久系を多めにすると、筋量はある程度増加を抑えて筋力を向上することも可能です。)
長距離ランナーだと、ウエイトベストの着用やリュックに水などを持ちながら長時間走る、峠や山を登るなどがいいかもしれません。
筋量が増えれば、筋力も増えますから走りに余裕が生まれます。エネルギー代謝量や代謝スピードも増えるので痩せやすく、負荷も掛けやすくなります。
負荷が掛かれば、(短時間でも長時間でも)同じ時間でより効率的なトレーニングをすることができます。
そうして出来上がった体で、よりレースに近い負荷が掛かるようなトレーニングをする時期になると、一気に開花してVO2MAXが爆上がりするのです。
(もちろん、これも多くのうちの一つの要因でしかなく、その他様々な努力は欠かせません!)
逆説的に、わざわざおもりを持たなくても体に付いているといった意味では、準備期に少しくらい太ってしまっても、脚や心肺に負荷が掛かりやすいという面では有利であると言えますね!
さあ! 正月太りをした人は今こそ有利な場面だと思ってスタート!!笑
Q2:ランニングウォッチで表示されるVO2MAXが急に上がったんですけど信じていいの?
A2:信じる者は救われます。
最近ではスマートウォッチの台頭により、ランニングウォッチも多機能化して(どっちかっていうとスマートウォッチにランニングウォッチが吸収された)、時間だけでなく(むしろ時間よりも)心拍や酸素飽和度、パルス形状や間隔からストレス度も測れるものが出てきています。
(久しぶりに探したけど高機能化が進んでますね! ランニングウォッチ的にはポラールの方が一歩進んでいるかな?)
それらのデータを組み合わせてより高い精度でVO2MAXが「推定」できるというというのがスマートウォッチ、ランニングウォッチの魅力的ですよね!
そう、これらの数値は、各社が様々なデータを元に導き出した「回帰式」によって計算され、その値が表示されているため、「あくまで推定値」であることには変わりないのです。
回帰式というのは、たくさんの人のデータを統計学的に分析すると、「このくらいで走る人はこれくらい」という平均的な変化の傾向が分かります。
(競技歴や体形やなどの差はあれど、1万人とかの多様な人が入り混じったデータの中では埋もれてしまい影響力は少なくなりますので、考慮する必要がありません。逆にいろんな体型が混ざっているのである意味では考慮されています。)
これらのウォッチでは、生年月日(年齢)、性別、身長、体重、安静時心拍数、最大心拍数などの様々な設定が要求されます。
そういった情報で補正をし、回帰式により高い精度で当てはめるから、大体あってる≒ほぼ正確にVO2MAXが推定されるのです。
しかしながら、ほぼ呼吸の状態と関連している心拍数を用いているとはいっても、実際に呼気ガスを採取して分析したわけではないので、表示はVO2MAXが高く出たり、低く出たりする可能性はあります。
最近では酸素飽和度の測定もできるものが出てきたので、そういうものから補正され、より正確に推定しようとしていると言えるでしょう。
信頼性の意味では極めて正確であるとは一概に言えないですが、人間の体自体が調子によって波があるのでかなり変動します。そういう意味では大体合っていれば役割は果たしますし、表示される数値が目安であり、モチベーションアップ(たまにダウン)につながりますので、道具としてはよいのではないでしょうか?
なので、信じる者は救われます!(信じるか信じないかはあなた次第です・・・)
実際に呼気ガスを測定した場合、自分が思っているよりも低いことが多いです。
マスクをして、ハーネスをつけられて、「倒れるまで、限界までやらないと正確に測れないよ」という呪いの言葉を掛けられ、拷問の様にトレッドミル上で走らされ、「きつい、やめたい、でも正確な値は欲しい・・・」と葛藤をしつつ、追い込む・・・その結果がこれ!?
「ウソッ!私のVO2MAX低すぎ!?(やっぱなーそうだよなー)名実ともに速い人は高かった・・・」 なんてことがほとんどです。
何故なら「測定は真実を映す鏡だから!」
そんなことより、もっと気楽に楽しく、時に苦しく走って、ウォッチに表示されるVO2MAXは占いの様に、上がった、下がったをご都合に合わせて解釈するのがいいと思います!
だって、「高いのに遅い」、「低くても速い」とか言い始める奴が必ずいるけど、それって単に現状が速いか遅いかしか議論していないから。
速さは、距離と時間で決まります。
心拍やVO2MAXがどうであれ、決められた距離をなるべく短い時間で走ることが重要です。
VO2MAXは自分のトレーニングの今後を考える取っ掛かりのひとつでしかないので、一喜一憂をする必要はありません。
なぜなら現在のVO2MAXは今後ずっと速い、遅いの保証をするわけではないからです。
VO2MAXがどうであれ、あなたはきっと、「あなたの中で気持ちよく、速く走れれば、十分満足できる」はずです。
しかし、例えば疲れている、ケガで速く走れない、忙しくてしばらくぶりに走ったなどの状況だったのに、気持ちよく、速く走れたとしたら?
それにも関わらず、それを支持しない値がウォッチに表示されていたとしたら?
そんな状況で水を差すようなウォッチの値を今後信じられるでしょうか?
良くも悪くも機械は気持ちを汲みません。 結局は表示されている数字をこちらがどう捉えるか?という捉え方の問題なのです。
往々にして、長距離系、ことトライアスリートは数値を過度に比べたがります。
そして、自身のパフォーマンスを支持する値もそうでない値も、疑問を持ち不審がるという何とも不思議な生態を示し、結果的に感覚に回帰するという沼が好きみたいです(でもデバイスはずっと付ける)。
コウタは嫌になって着けなくなりました笑
VO2MAXについて知ることが一般には向かない理由は、
「縛られるから」
速く走れる時には速く走れている要因など気にならないものです。
聞いてみればわかりますが、超速い人ほど気にしていないことがほとんどです。
速く走れないとしても、気持ちよく走れていれば案外、満足はするものです。
大抵の場合、速く走れないうえに気持ちよく走れない時にみんな悩みだすのです。
そんな時に客観的に要因を突き止めてほしい気持ちはわかりますが、真実を映す鏡は「お前はだめな奴だ」としか示しません。
そんな結果で喜ぶ人は極めて少ないので、さっさと「飯食って、風呂入って、寝る」を追求しましょう。
え? それは正月に散々やった??
じゃ、トレーニングだな笑
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