VO2MAXは高ければいい?最大酸素摂取量の誤解

※だいぶ以前に書いた記事ですが、アクセス数が多いので最近の考えを最後に追記します。

 

早くも3月になってしまいました。

時間が過ぎるのは早いな~速いな~ なんて思うようになってしまったのは、オッサン化した証拠でしょうか?笑

さて、持久系種目の人には足の速さのレベルの如く語られている最大酸素摂取量(VO2MAX)について話してみようと思います。

VO2MAXとは?

酸素を体内に取り込む能力です!(そのまま笑)

ml/kg/minという単位で、体重あたり・1分あたりに摂取できる酸素の量を示すことが多いです。

一般人では、45~55ml/kg/min、持久系のトップアスリートでは、なんと70~80ml/kg/minほどであるそう!!(‘-‘)

高ければ高いほど持久系の記録が速いという風に言われているので、長距離や持久系種目では、

「コウタ、おまえVO2いくつ?」

「57…」

「コウタやベーwww一般人に毛が生えたレベルじゃんwww 俺、72~♪」

(現役の時に実際にあったやり取り笑)

 

というように、まるで持久系RPGの主人公の強さを表すレベルであるかのように、高いと自慢できます。

え?新しい情報が無いって??

本題はここから(前置きは長い)

持久系の選手でも、VO2MAXが高いのにもかかわらず、遅い人がいます。

そういう人の要因として挙げられるのは、大きく2つ

1: 走りの効率が悪い

2: パワーが足りない

です。

説明をすると、

1: 走りの効率が悪い とはどういうことかというと

単純に フォームが悪い! ということです。

・ハムストリングスの負荷感を追い求めるあまり、ひざ下走りになっている(オジサンに多い)

・地面を強く蹴る意識をするあまりに、足首で蹴っている(女性に多い)

・体幹の固定や軸を意識するあまり、骨盤の回旋や腕振りを止めてしまっている(男女問わず多い)

筋肉が発生した力をうまく地面に伝えられていないんですね。

 

2: パワーが足りない とは、

筋力が足りない(そのままです笑)

仮にうまく地面に伝えられていても筋力が発生する力自体が弱いとスピードの上限が決まってしまいます。

これこそ、持久系を嗜む人が陥るVO2MAXの罠です!

ここでもう一度、VO2の単位を見てください。

「ml/kg/min」

そう。体重当たりの値なのです!

なので、体重が軽い方が高くなりやすく、重い方が低くなりやすいのです!

 

逆に、VO2MAXが同じ値であれば、体重が重い方が絶対量は大きいといえます。

どういうことかというと

VO2MAXが 60ml/kg/min の方が2人いたとしましょう。

 

体重が80kgのAさんの最大酸素摂取量は、

60ml/kg/min × 80kg = 4800ml =4.8リットル

 

体重が50㎏のBさんの最大酸素摂取量は、

60ml/kg/min × 50kg = 3000ml =3.0リットル

 

と、なんと1.8リットルもの差が出てしまいます。

もちろん、体重が軽い方が、体を運ぶエネルギーが少なくて済むので、一概に重い方がいいとは言いません。

それと、この場合の30kgの差は、筋肉だと考えてください笑

筋肉が多い方が、当然消費は増えるので酸素の需要量は増えます。

また、筋肉が多い方がパワーが出るのでスピードが出ます。

ただ、持久系の筋肉は肥大しにくく、大きくなりパワーが出るのは速筋なので、単純に持久能力の比較にはなりませんが。

持久系種目の選手がよく

「無駄な筋肉を付けると重くなるからつけない」

と言うのは、もちろん理にかなってはいるのですが、一方で、スピードが足りないとも言っているので、もはやなんだかわからなくなります。

考え方のヒントとして、こう考えるとどうでしょうか?

 

・筋肉が増えて重くなるがパワーが上がる分スピードが上げられる

→今までの速度が楽に出るようになる

→努力度が下がり余裕が出る

→全力を出せば最高速度が上がる(スピードが付いた)

 

・酸素需要量が増える

→今までよりも呼吸循環系に負荷がかかる

→時間や速度が同じでも高負荷になるためトレーニング効率が上がる

→呼吸循環系の能力向上で持久力が更に向上する可能性が増える

 

ということです。

最初に出した、現役の時に実際あったやり取りでは、友人は確かに持久系は得意でした(1500m~5000mまで走れる選手だった)

一方で、コウタは400m・800m選手なので根本的に長い距離を走る必要がなく、速度域が長距離のそれよりも遥かに高い速度なので、スピードは抜群にありました。

そして、実際に測定すると、一般的なVO2MAXの測定手順では時間が長すぎてしまい、VO2MAXが発現する前に体力が終わってしまいます。

しかし、最初から高い速度で、限界まで走ると、あら不思議!

67ml/kg/minという値が出てしまうのです。

 

脳まで筋肉と言われたくないので、あまりこんな言い方はしたくないのですが、

筋力とパワーがパフォーマンスを決定する!

というのは、部分的には間違っていないと思います。

自転車なんかは顕著で、車輪で効率がいい状態なので、パワーがあれば重いギアでゆっくり踏めばいいので、体重が重くてもそれなりのスピードで維持できちゃいます。

逆に、持久系の細い人ほど、軽いギアを速く漕がなければいけないので、最高速度が伸びなかったりする場合があります。

タイム系のレースでは、平均速度の高さが問題になってくるので、目的の距離を走り切った直後に倒れるくらい残っていなくても、速度やタイムが速い方が勝つので、スピードは大問題です。

そのスピードが維持できるか?というところが持久的課題なのですが、元来のスピードが高い方が、手抜きしても速いので、結果持久力が伸びる場合があります。

イメージで言えば、軽自動車だろうが、セダンだろうが、スポーツカーだろうが、100キロは100キロですが、アクセルの踏み具合はどうでしょうか?

軽が8割アクセルを踏んでいたら残り2割しか余力はありません。

セダンやスポーツカーは3割しか踏んでいなかったら、あと7割踏めます!

多少燃費は悪いかもしれませんが、目的地により早く辿り着けるのが勝ちだとしたら、あなたはレースで軽を選ぶでしょうか?

スピードと持久力は相補性なのですが、問題はその釣り合いをできるだけ高い速度で取るということが大事です。

体重あたりに騙されないで!!

(脂肪落とさないと。。。)

洋書ですが今読んでておもしろい本↓↓

※以下、2018/10/1追記

VO2Maxというのは、車や自転車で言えば、「パワーウエイトレシオ」、「燃費」、「CO2排出量」を掛け合わせたような値です。

日本の持久系種目界隈では、VO2Max、FTP、OBLA、パワーウエイトレシオが高いことが声高に語られますが、実際にどのように上げられるのか?というのをなかなか説明しきることができません。

VO2Max、FTP、OBLA等、値を伸ばしたい強度でトレーニングを多く実施すると向上する等と書かれていることが多いので、実践している方も多いのではないでしょうか?

しかし、実践した人は多々いらしゃると思いますが、実は相当大変で、効果が出始めるよりも前に、ケガや疲労で断念せざるを得ないのが現実です。

また、既に値が高い人が、更に高い値に伸ばす方法は、初心者、中級者のそれとは一線を画す内容となります。

そこでやはり考えなければならないのは、絶対値になってきます。

よりスピードを出すには筋力(量)、より楽に走るには軽さ(重量)が影響してきます。

日本人は元来、小柄な選手が持久系種目で活躍してきたことから、より軽い方が速いと考えがちです。

日本のトップを獲るレベル、あるいは高校生までであれば、軽さを超重視する戦法の方が結構、楽で伸び率もよい方法になりえます。

しかし、よりスピードが要求される世界レベルの所では、スピードが足りず、付いていこうと頑張るほど持久力が削られ、スタートから数周でフレームアウトするのです。

非力なエンジンでスピードを稼ぐために、軽量化を求め、フレームをどんどん削ると、安全性や剛性等、下支えする機能がどんどん落ちるのです。

「ケガせずに継続する」というのがトレーニングの基本ですが、軽量化を求める方法では、体の耐久力も落ちていくため、貧血、アキレス腱炎、疲労骨折等の問題が生じやすくなっているのです。

いわば、今(まで)の日本のやり方は「今を守る(耐える)」方法であり、「攻める」方法ではないのです。

「筋肉を付けると重くなる」というのは上にも書きましたが、ただ付けるだけで筋力は上がりますが、問題はその付けた筋肉で更に単位時間当たりの仕事量、即ち仕事率(馬力)を上げるかがカギです。

更に、その仕事率で維持する持久力(特に有気的持久力)を向上するトレーニングが必要です。

つまり、巷で言われている方法は、「筋肉がある」あるいは、「(成長期などで)筋量も増えていく」という前提条件で成り立っているのです。

当然、体重が増えることは、ケガのリスクを上げることになりますが、脂肪量は変わらずとも、あるいは脂肪を減少させながら、筋肉量増加することは、ケガのリスクを低下させることになります。

いわば、「動けるデブ」というのは、脂肪は多いが筋肉も多い人のことを言います。

また、同じ値のVO2Maxの二人が、片方は体重が重く、片方は体重が軽かった場合に、恐らく体重が軽い人の方が走るのは速いでしょう。

しかし、体重が重い人をVO2Max絶対値で見ると、相当高い値になります。それは果たして呼吸循環系能力が弱いと言えるのでしょうか?

逆に、体重が軽い人は速いですが、絶対値が低く、それは果たして呼吸循環系能力が強いと言えるのでしょうか?

 

仕事率を増やす、絶対値を増やすことができなければ、絶対的なスピードを上げることができず、結果、VO2Max等が高くても、速くない、勝てない選手になるのです。

VO2Maxが一般には向かない理由は、

「結局は仕組みを理解しなければトレーニングに応用できないから。」

 

活用するためにあって、値に対して一喜一憂する為に測るのではないのです。

 

そういや、最近の研究では呼吸筋を鍛えると頭打ちになってもVO2MAXはわずかに向上するらしいです。

“VO2MAXは高ければいい?最大酸素摂取量の誤解” への4件の返信

    1. はじめまして!
      コメントありがとうございます。
      VO2MAXはなかなか一般的なことしか語られないですよね~
      何かご不明な点がございましたらご連絡ください。

  1. 始めまして、アタシは還暦で85㎏体脂肪率28%の脂肪デブでVO2MAXが55くらいです。(ランニングは無理です。膝アウト。自転車やってます。ヒルクライムに挑戦したい。)

    で、脂肪を落とすのが最優先なのは間違いないですが、次は何でしょう。スプリント力を鍛えても仕方ないわけで、筋持久力ですか?なら、今までやっていたようなタバタ式インタバル走より、無酸素運動域の低いほうをギリギリ長時間走るほうがいいですか。(ジムでは30分は維持できますが、道では苦しくて。マラソンランナーは無酸素運動を2時間維持できるそうですよね。そこまでいかないといけないのかな。)

    でも脂肪は落ちませんよねえ。日に必死で30㎞走って、月に1㎏いくかくらいです。心肺機能は思いっきりつきましたけどね。

    1. はじめまして。コメントありがとうございます。
      自転車をやってるんですね? どのバイクで、どのレベルでやっているかは文面からは読み切れませんが、ヒルクライムに挑戦したいとのことで、中級者への準備として返信します。

      日に30km必死で走ってとありますが、膝がアウトとのことですので、ランニングではないですよね?バイクですね?
      VO2MAXは実測値でしょうか? 恐らくサイコンの表示か何かかと思われますが、この数値の捉え方で状況が変わります。

      1:VO2MAXの値を信頼する場合
      実測値なら当然、信頼に値しますが、推定値の場合は、推定する回帰式や体組成等によって若干外れる場合があります。
      信頼する場合、30kmという距離で必死になるということは、FTP以上の強度に入っている時間が比較的長い(強度が高すぎる=セッションのNPが高い)ことが考えられます。
      脂肪より、糖でのエネルギー供給がメインとなり、瘦せたいけど、痩せない現象は起きやすいです。
      なぜなら、強度(仕事率)は高いのですが、糖が枯渇して動けなくなるので、運動の絶対量が増やせない上に、その際中の運動も糖がメイン供給ですので、脂肪があまり使われません。
      そして、終わった後の回復と称して糖が欲しくなりバカ食い=消費以上摂取となりがちです。
      要するに、脂肪の箱と糖の箱にエネルギーが入っていて、脂肪からたくさん出したいのに、糖ばかり使ってしまい、運動後に消費した以上に糖だけ(大抵の場合脂肪も)補給するので、脂肪が消費されていないことになります。

      一方で、体重の割にVO2MAXが高いということは、それなりに筋力と有気的持久力があると言えるので、大ギアを低ケイデンスでじんわり踏んで、LT~OBLAの領域で時間や距離を行くといいと思います。
      ※ちなみに無気的エネルギー供給がメインの全力運動は5分も持ちません。マラソンランナーは~の話は半分間違いです。
      詳しいことは「ペダルは踏むより回す方が効率がいいのは本当か?」の記事に書いてあります。

      タバタ式は、基礎体力の素地がない一般人がやれば数分で消費や効果が大きいとか、筋力や有気的持久力の素地があるアスリートがそれらの統合のため実施するトレーニングとして効果があるとされるのであって、素地とタバタで実施する絶対量が少ないのに、それ以上にはなりません。

      2:VO2MAXを信頼しない場合
      体重と脂肪の量から、VO2MAXの55ml/kg/minという値はあまり信頼できない値であるとも考えられます。
      その場合、筋力も有気的持久力も不足していると考えられるので、筋トレはジムで、有気的トレーニングは自転車でやる必要があります。
      膝を壊してしまっているという時点で、負荷に対しての筋力不足か柔軟性不足等のケア不足が考えられます。
      基礎から全てやり直しとなります。

      いろいろ語りましたが、ヒルクライムに挑戦したいのであれば、ヒルクライムの練習をすれば、筋力と筋持久力と有気的持久力と技術と全て賄えると思います。
      ただ、故障のリスクも上がりますので、気をつけてください。

      食事を見直すのは言わずもがな。食事を変えたくないなら、トレーニングを激化するしかないと思います。

      それは他の記事でも触れているので、探してみてください!

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