VO2MAXは高ければいい?最大酸素摂取量の誤解

※だいぶ以前に書いた記事ですが、質問数が多いので最近の考えを記事にしました!(このリンクをクリック!)

早くも3月になってしまいました。

時間が過ぎるのは早いな~速いな~ なんて思うようになってしまったのは、オッサン化した証拠でしょうか?笑

さて、持久系種目の人には足の速さのレベルの如く語られている最大酸素摂取量(VO2MAX)について話してみようと思います。

VO2MAXとは?

酸素を体内に取り込む能力です!(そのまま笑)

ml/kg/minという単位で、体重あたり・1分あたりに摂取できる酸素の量を示すことが多いです。

一般人では、45~55ml/kg/min、持久系のトップアスリートでは、なんと70~80ml/kg/minほどであるそう!!(‘-‘)

高ければ高いほど持久系の記録が速いという風に言われているので、長距離や持久系種目では、

「コウタ、おまえVO2いくつ?」

「57…」

「コウタやベーwww一般人に毛が生えたレベルじゃんwww 俺、72~♪」

(現役の時に実際にあったやり取り笑)

というように、まるで持久系RPGの主人公の強さを表すレベルであるかのように、高いと自慢できます。

え?新しい情報が無いって??

本題はここから(前置きは長い)

持久系の選手でも、VO2MAXが高いのにもかかわらず、遅い人がいます。

そういう人の要因として挙げられるのは、大きく2つ

1: 走りの効率が悪い

2: パワーが足りない

です。

説明をすると、

1: 走りの効率が悪い とはどういうことかというと

単純に フォームが悪い! ということです。

・ハムストリングスの負荷感を追い求めるあまり、ひざ下走りになっている(オジサンに多い)

・地面を強く蹴る意識をするあまりに、足首で蹴っている(女性に多い)

・体幹の固定や軸を意識するあまり、骨盤の回旋や腕振りを止めてしまっている(男女問わず多い)

筋肉が発生した力をうまく地面に伝えられていないんですね。

2: パワーが足りない とは、

筋力が足りない(そのままです笑)

仮にうまく地面に伝えられていても筋力が発生する力自体が弱いとスピードの上限が決まってしまいます。

これこそ、持久系を嗜む人が陥るVO2MAXの罠です!

ここでもう一度、VO2の単位を見てください。

「ml/kg/min」

そう。体重当たりの値なのです!

なので、体重が軽い方が高くなりやすく、重い方が低くなりやすいのです!

逆に、VO2MAXが同じ値であれば、体重が重い方が絶対量は大きいといえます。

どういうことかというと

VO2MAXが 60ml/kg/min の方が2人いたとしましょう。

体重が80kgのAさんの最大酸素摂取量は、

60ml/kg/min × 80kg = 4800ml =4.8リットル

体重が50㎏のBさんの最大酸素摂取量は、

60ml/kg/min × 50kg = 3000ml =3.0リットル

と、なんと1.8リットルもの差が出てしまいます。

もちろん、体重が軽い方が、体を運ぶエネルギーが少なくて済むので、一概に重い方がいいとは言いません。

それと、この場合の30kgの差は、筋肉だと考えてください笑

筋肉が多い方が、当然消費は増えるので酸素の需要量は増えます。

また、筋肉が多い方がパワーが出るのでスピードが出ます。

ただ、持久系の筋肉は肥大しにくく、大きくなりパワーが出るのは速筋なので、単純に持久能力の比較にはなりませんが。

持久系種目の選手がよく

「無駄な筋肉を付けると重くなるからつけない」

と言うのは、もちろん理にかなってはいるのですが、一方で、スピードが足りないとも言っているので、もはやなんだかわからなくなります。

考え方のヒントとして、こう考えるとどうでしょうか?

・筋肉が増えて重くなるがパワーが上がる分スピードが上げられる

→今までの速度が楽に出るようになる

→努力度が下がり余裕が出る

→全力を出せば最高速度が上がる(スピードが付いた)

・酸素需要量が増える

→今までよりも呼吸循環系に負荷がかかる

→時間や速度が同じでも高負荷になるためトレーニング効率が上がる

→呼吸循環系の能力向上で持久力が更に向上する可能性が増える

ということです。

最初に出した、現役の時に実際あったやり取りでは、友人は確かに持久系は得意でした(1500m~5000mまで走れる選手だった)

一方で、コウタは400m・800m選手なので根本的に長い距離を走る必要がなく、速度域が長距離のそれよりも遥かに高い速度なので、スピードは抜群にありました。

そして、実際に測定すると、一般的なVO2MAXの測定手順では時間が長すぎてしまい、VO2MAXが発現する前に体力が終わってしまいます。

しかし、最初から高い速度で、限界まで走ると、あら不思議!

67ml/kg/minという値が出てしまうのです。

脳まで筋肉と言われたくないので、あまりこんな言い方はしたくないのですが、

筋力とパワーがパフォーマンスを決定する!

というのは、部分的には間違っていないと思います。

自転車なんかは顕著で、車輪で効率がいい状態なので、パワーがあれば重いギアでゆっくり踏めばいいので、体重が重くてもそれなりのスピードで維持できちゃいます。

逆に、持久系の細い人ほど、軽いギアを速く漕がなければいけないので、最高速度が伸びなかったりする場合があります。

タイム系のレースでは、平均速度の高さが問題になってくるので、目的の距離を走り切った直後に倒れるくらい残っていなくても、速度やタイムが速い方が勝つので、スピードは大問題です。

そのスピードが維持できるか?というところが持久的課題なのですが、元来のスピードが高い方が、手抜きしても速いので、結果持久力が伸びる場合があります。

イメージで言えば、軽自動車だろうが、セダンだろうが、スポーツカーだろうが、100キロは100キロですが、アクセルの踏み具合はどうでしょうか?

軽が8割アクセルを踏んでいたら残り2割しか余力はありません。

セダンやスポーツカーは3割しか踏んでいなかったら、あと7割踏めます!

多少燃費は悪いかもしれませんが、目的地により早く辿り着けるのが勝ちだとしたら、あなたはレースで軽を選ぶでしょうか?

スピードと持久力は相補性なのですが、問題はその釣り合いをできるだけ高い速度で取るということが大事です。

体重あたりに騙されないで!!

(脂肪落とさないと。。。)

洋書ですが今読んでておもしろい本↓↓

※以下、2018/10/1追記

VO2Maxというのは、車や自転車で言えば、「パワーウエイトレシオ」、「燃費」、「CO2排出量」を掛け合わせたような値です。

日本の持久系種目界隈では、VO2Max、FTP、OBLA、パワーウエイトレシオが高いことが声高に語られますが、実際にどのように上げられるのか?というのをなかなか説明しきることができません。

VO2Max、FTP、OBLA等、値を伸ばしたい強度でトレーニングを多く実施すると向上する等と書かれていることが多いので、実践している方も多いのではないでしょうか?

しかし、実践した人は多々いらしゃると思いますが、実は相当大変で、効果が出始めるよりも前に、ケガや疲労で断念せざるを得ないのが現実です。

また、既に値が高い人が、更に高い値に伸ばす方法は、初心者、中級者のそれとは一線を画す内容となります。

そこでやはり考えなければならないのは、絶対値になってきます。

よりスピードを出すには筋力(量)、より楽に走るには軽さ(重量)が影響してきます。

日本人は元来、小柄な選手が持久系種目で活躍してきたことから、より軽い方が速いと考えがちです。

日本のトップを獲るレベル、あるいは高校生までであれば、軽さを超重視する戦法の方が結構、楽で伸び率もよい方法になりえます。

しかし、よりスピードが要求される世界レベルの所では、スピードが足りず、付いていこうと頑張るほど持久力が削られ、スタートから数周でテレビ画面からフレームアウトするのです。

非力なエンジンでスピードを稼ぐために、軽量化を求め、フレームをどんどん削ると、安全性や剛性等、下支えする機能がどんどん落ちるのです。

「ケガせずに継続する」というのがトレーニングの基本ですが、軽量化を求める方法では、体の耐久力も落ちていくため、貧血、アキレス腱炎、疲労骨折等の問題が生じやすくなっているのです。

いわば、今(まで)の日本のやり方は「今を守る(耐える)」方法であり、「攻める」方法ではないのです。

「筋肉を付けると重くなる」というのは上にも書きましたが、ただ付けるだけで筋力は上がりますが、問題はその付けた筋肉で更に単位時間当たりの仕事量、即ち仕事率(馬力)を上げるかがカギです。

更に、その仕事率で維持する持久力(特に有気的持久力)を向上するトレーニングが必要です。

つまり、巷で言われている方法は、「筋肉がある」あるいは、「(成長期などで)筋量も増えていく」という前提条件で成り立っているのです。

当然、体重が増えることは、ケガのリスクを上げることになりますが、脂肪量は変わらずとも、あるいは脂肪を減少させながら、筋肉量増加することは、ケガのリスクを低下させることになります。

いわば、「動けるデブ」というのは、脂肪は多いが筋肉も多い人のことを言います。

また、同じ値のVO2Maxの二人が、片方は体重が重く、片方は体重が軽かった場合に、恐らく体重が軽い人の方が走るのは速いでしょう。

しかし、体重が重い人をVO2Max絶対値で見ると、相当高い値になります。それは果たして呼吸循環系能力が弱いと言えるのでしょうか?

逆に、体重が軽い人は速いですが、絶対値が低く、それは果たして呼吸循環系能力が強いと言えるのでしょうか?

仕事率を増やす、絶対値を増やすことができなければ、絶対的なスピードを上げることができず、結果、VO2Max等が高くても、速くない、勝てない選手になるのです。

VO2Maxが一般には向かない理由は、

「結局は仕組みを理解しなければトレーニングに応用できないから。」

活用するためにあって、値に対して一喜一憂する為に測るのではないのです。

ちなみに、

・男性と女性では相対的に女性の方がVO2Maxの割に追い込めるらしい

(VO2Maxとタイムを比較すると、VO2が低いわりにタイムがいい=追い込めるという状況が、男性のそれよりも多いらしい。痛みに対して強いのが理由だとか?)

・年齢が上がるほどVO2Maxは低下する

(恐らく筋肉量が落ちるせいもある)

という研究があるとか。

個人的な意見としては、男性は落ち着きのある人、女性は落ち着きのない人の方がVO2と競技成績が高い気がします。

そういや、最近の研究では呼吸筋を鍛えると頭打ちになってもVO2MAXはわずかに向上するらしいです。

“VO2MAXは高ければいい?最大酸素摂取量の誤解” への13件の返信

    1. はじめまして!
      コメントありがとうございます。
      VO2MAXはなかなか一般的なことしか語られないですよね~
      何かご不明な点がございましたらご連絡ください。

  1. 始めまして、アタシは還暦で85㎏体脂肪率28%の脂肪デブでVO2MAXが55くらいです。(ランニングは無理です。膝アウト。自転車やってます。ヒルクライムに挑戦したい。)

    で、脂肪を落とすのが最優先なのは間違いないですが、次は何でしょう。スプリント力を鍛えても仕方ないわけで、筋持久力ですか?なら、今までやっていたようなタバタ式インタバル走より、無酸素運動域の低いほうをギリギリ長時間走るほうがいいですか。(ジムでは30分は維持できますが、道では苦しくて。マラソンランナーは無酸素運動を2時間維持できるそうですよね。そこまでいかないといけないのかな。)

    でも脂肪は落ちませんよねえ。日に必死で30㎞走って、月に1㎏いくかくらいです。心肺機能は思いっきりつきましたけどね。

    1. はじめまして。コメントありがとうございます。
      自転車をやってるんですね? どのバイクで、どのレベルでやっているかは文面からは読み切れませんが、ヒルクライムに挑戦したいとのことで、中級者への準備として返信します。

      日に30km必死で走ってとありますが、膝がアウトとのことですので、ランニングではないですよね?バイクですね?
      VO2MAXは実測値でしょうか? 恐らくサイコンの表示か何かかと思われますが、この数値の捉え方で状況が変わります。

      1:VO2MAXの値を信頼する場合
      実測値なら当然、信頼に値しますが、推定値の場合は、推定する回帰式や体組成等によって若干外れる場合があります。
      信頼する場合、30kmという距離で必死になるということは、FTP以上の強度に入っている時間が比較的長い(強度が高すぎる=セッションのNPが高い)ことが考えられます。
      脂肪より、糖でのエネルギー供給がメインとなり、瘦せたいけど、痩せない現象は起きやすいです。
      なぜなら、強度(仕事率)は高いのですが、糖が枯渇して動けなくなるので、運動の絶対量が増やせない上に、その際中の運動も糖がメイン供給ですので、脂肪があまり使われません。
      そして、終わった後の回復と称して糖が欲しくなりバカ食い=消費以上摂取となりがちです。
      要するに、脂肪の箱と糖の箱にエネルギーが入っていて、脂肪からたくさん出したいのに、糖ばかり使ってしまい、運動後に消費した以上に糖だけ(大抵の場合脂肪も)補給するので、脂肪が消費されていないことになります。

      一方で、体重の割にVO2MAXが高いということは、それなりに筋力と有気的持久力があると言えるので、大ギアを低ケイデンスでじんわり踏んで、LT~OBLAの領域で時間や距離を行くといいと思います。
      ※ちなみに無気的エネルギー供給がメインの全力運動は5分も持ちません。マラソンランナーは~の話は半分間違いです。
      詳しいことは「ペダルは踏むより回す方が効率がいいのは本当か?」の記事に書いてあります。

      タバタ式は、基礎体力の素地がない一般人がやれば数分で消費や効果が大きいとか、筋力や有気的持久力の素地があるアスリートがそれらの統合のため実施するトレーニングとして効果があるとされるのであって、素地とタバタで実施する絶対量が少ないのに、それ以上にはなりません。

      2:VO2MAXを信頼しない場合
      体重と脂肪の量から、VO2MAXの55ml/kg/minという値はあまり信頼できない値であるとも考えられます。
      その場合、筋力も有気的持久力も不足していると考えられるので、筋トレはジムで、有気的トレーニングは自転車でやる必要があります。
      膝を壊してしまっているという時点で、負荷に対しての筋力不足か柔軟性不足等のケア不足が考えられます。
      基礎から全てやり直しとなります。

      いろいろ語りましたが、ヒルクライムに挑戦したいのであれば、ヒルクライムの練習をすれば、筋力と筋持久力と有気的持久力と技術と全て賄えると思います。
      ただ、故障のリスクも上がりますので、気をつけてください。

      食事を見直すのは言わずもがな。食事を変えたくないなら、トレーニングを激化するしかないと思います。

      それは他の記事でも触れているので、探してみてください!

  2. はじめまして、VO2Maxについて調べていてこのページにたどりつきました。

    >男性と女性では相対的に女性の方がVO2Maxの割に追い込めるらしい

    この研究成果は、どこで見られるかご存知ですか?本やWebページ等、出典がわかるようでしたら教えていただけないでしょうか?

    1. はじめまして。記事をお読みいただきありがとうございます。
      また、返信が遅くなって申し訳ありません。

      >男性と女性では相対的に女性の方がVO2Maxの割に追い込めるらしい
      この部分に関しては、大学の時に授業で先生がおっしゃっていたことですので、エビデンスはどこかにあると思います。
      しかし、いかんせん昔の話なので、今となってはわかりません。

      その先生が授業でしていた話では、次のようなことでした。
      1:男性の方が筋量が多く脂肪が少ないため、最大酸素摂取量も高い
      2:加えて、一般的に女性は血液量、赤血球数、ヘモグロビン濃度が低いことも影響している。
      3:トレーニングによって増加する率に男女差はほとんどない

      つまり、女性は基本的に男性よりもVO2MAXが低いということです。
      しかしながら、女性は身体的な痛みに強い傾向にあるので、限界に追い込むとき(追い込んだ時)には、
      男性と比較して相対的にVO2MAXの持続時間や、VO2MAXに対する追い込み率は男性よりも高く、つまりVO2MAXの割に追い込めている。
      そういうことでした。

      その授業で思ったのは、女性に限らずメンタリティーの影響も大きそう・・・ってことでしたが笑
      本当にそのような研究があるかちょっと探してみます。

      期待はしないでください笑

      1. とても詳しく教えて下さってありがとうございます!

        VO2maxの測定、やはりメンタルの影響は大きいですよね。
        女性のVO2maxの持続時間が長いというのは、最初の測定の時点で実はMAXが正確に計れていないという事はないのでしょうかね?つまり、女性の場合 VO2maxの測定でオールアウトしていない可能性です…。

        私はまだ勉強し始めたばかりなので的はずれだったらすみません!

        1. 複数回測定するうちに慣れるから、手の抜き所がわかるのか、力の入れ所がわかって追い込めるようになるのか・・・

          心理学的には、基本的に女性は、結果がいい悪い云々よりも、頑張った評価をして欲しい傾向にあるそうで、男性は結果の良し悪しを評価して欲しい傾向にあるそうです。

          最大が出ていないのであれば、VO2”MAX”の状態でないので、MAXが正確に測れていないというのは半分正解で、半分不正解だと思いますが・・・
          VO2peakというやつですね。
          VO2MAXが発現してからの持続時間が長いとはいえ、10~20秒程度の話らしいです。

          女性がVO2MAXの割に追い込めているというよりは、より追い込まないとより高いVO2MAXをひねり出せないってことか、これ以上頑張ってもなかなか上がらないというべきでしょうかね。
          逆に男性は、追い込まなくても高いということになるか、もっと追い込めればより高い値が出る可能性がある(けど追い込めない)ってことでしょうか・・・

          いずれにしても、VO2MAXの高さや追い込み率がどうであれ、レースでは速いことがパフォーマンスとして評価されますからね。
          VO2MAXが高くて遅い方ががっかりすると思いますよ笑

          コウタは台上のスペシャリストにはなりたくありません笑

  3. はじめまして。
    随分前の投稿ですが、大変興味深く今まで何度も読ませて頂いています。
    vo2maxはなかなか理解が難しいのですが、
    今回自分が疑問に思っている事を質問させて下さい。
    私は長距離3年ほどの女性ランナーですが
    酷暑だというのにここ最近急にvo2maxが上昇しています。
    2月→56
    6月52〜54くらい 
    7月以降54〜現在57
    気温が高く当然2月のようなペースでは走れないですし、実感もあまりないのですが、このように上がってきた理由は何か考えられますでしょうか?
    自分で思い当たる部分は
    ・春くらいからランニングに加え、かなりスローですが1km以上泳ぎ続けるスイミングを始めた

    ・まだ初めて1ヶ月ほどですが、週一程度でインターバルトレーニングを始めた。

    ・春くらいから閾値走をはじめた。

    ・ガーミンの機種を変えた
    (前回のGarminの心拍測定のバグが多過ぎたので)

    この中で、vo2maxの急上昇に影響すると思われる事はありますでしょうか?
    またこんな短期間でここまで上がることはあり得ますか?私よりvo2maxが高いのに私より速い人は沢山います笑
    長々と失礼いたしました。
    お目に止まれば幸いですm(__)m

    1. コメントありがとうございます!
      最近は仕事の関係でほとんど更新ができていませんが、過去記事がこういういい仕事をしてくれますね笑

      遅くなりましたが、ご質問に対して回答をを・・・

      基本的に、VO2MAXというものはそんなに短期間では上昇しないと言われています。(する場合もありますがそれは後ほど・・・)
      しかし、本文にもありますが、VO2MAXというものは体重比で示されることが多いです。

      そのため、春先から今までに体重が減り、そのタイミングでガーミンの設定等で体重をこまめに変更してくると表示される数値が上がる可能性はあります。

      また、基本的にVO2MAXが高い方が速いと言われていますが、競技はVO2MAXだけが要因ではないので、高くても遅い人、低くても速い人はたくさんいます。
      なので、VO2MAXが指標にならないとも言われています笑

      ここ10年くらいはVO2MAXが出る走速度(vVO2MAXと言われています)が高いことが重要だと言われてきているようです。
      vVO2MAXが示す意味合いはランニング効率です。

      そこそこの人がヴェイパーフライを履いて効率が上がって速くなるっていうのと同じです。
      靴に頼らない方法(笑)としては、最大筋力や瞬間的な筋力の立ち上がりなどを向上し、接地時間が短くなることで高まるといわれています。

      また、ガーミンなどの機材で表示されるのはあくまで、回帰式(公式に当てはめて算出する方法)などによる推定値ですので、たまに外れ値を出す人もいます。

      最も、様々なデータを元に統計的に回帰式が導き出される(たくさんの人に使ってもらって、得られたデータから公式を作る)ので、あんまり外れることもないだろう・・・とも考えられます。

      また、呼気ガス分析をしない限り、本当の意味でVO2MAXは測定できませんので、あくまで参考値、推定値の域を抜け出せません。

      その他考えられる理由として、水分と血管的な要因です。

      まず、水分的要因ですが、気温が上がってきて発汗が進むと、当然、体内の水分がなくなります。
      そのため、エネルギーや水分の供給を多くしなければならないので、走速度やコースがいつもと同じ負荷でも心拍が上がり、結果的に同じスピードでも「追い込んでいる」という心拍計が判定します。
      結果、「こいつはVO2MAXが上がった」と出している可能性があります。
      実際に暑さの中ではきついので、ペース以外の要因で負荷が上がっていると言われれば、同じペースでもVO2MAXが上がったとも言えるかもしれませんが・・・
      (単に悪条件下、過酷環境下でやって、要求が高まっているだけなのですが・・・)

      次に血管的要因です。
      春先から低強度での運動時間が増えた、閾値走やインターバルを取り入れたということですので、それらのトレーニング効果として毛細血管が拡張し、酸素の取り込みと二酸化炭素の排出の能力が上がった。
      つまり、純粋たる意味でVO2MAXが上がったということも考えられます。

      最近はタバタ式の流行でHIT(高強度インターバルトレーニング)がもてはやされていますが、それをやる準備(前提条件)として「低強度での長時間・長期間のトレーニング」が必要です。
      それをやってから高強度へシフトすると、一気に効果が開花するというのが1960年代からのセオリーです。

      なので、「トレーニングの成果が実を結んだ!」と心拍計にお墨付きをもらった可能性もあります!

      実際に自分が走って、速くなっていれば、VO2MAX(絶対値、体重比)もvVO2MAXも、他の何かしらも上がっているはずなので、「上がっていればそう思い、下がっていれば気に留めない」というのが一番気持ちが安定します笑

      人は「科学的に数値ではっきり示してもらった方がいい!」と言いながら、実際に示されると「あてにならない」と言うので・・・

      科学的数値というのは「真実を映す鏡」であり、「占い」や「慰め」や「言い訳」ではありません。

      「数値」それ自体に意味はないのですが、「意味付けして今後どうするか」にはとても効きます。

      そこらへんは過去記事
      スポーツ科学の弊害
      なぜ苦しい思いまでしてテスト(測定)をするのか?

      を参照してください!

      コウタは腕に着けているウォッチに「遅い、低い」とけなされたり、「速い、高い」と褒められたりして、一喜一憂するのがバカらしくなってしまったので最近は着けてません笑
      着けても結局見るのは、終わった後で見る平均心拍だけです笑
      数値に縛られて無理して走るよりも、自分の感覚やフォーム、体力などに意識を向け、対話しながら走って、「今日はここがよかったから気持ちよく走れた!」「ここが悪かったから次はどうしよう」というのが醍醐味ではないでしょうか??

      主役はちーさん、あなた自身ですよ!
      スマートウォッチなどの機材に人が使われないように気を付けてくださいね!

  4. 実際に世界レベルでも距離が伸びれば伸びるほど体重が軽くなる傾向にありますよね?
    それは体重あたりのvo2maxが重要になるからでは?

    1. 当然、世界レベルの話をすれば限りなく体脂肪が少ないために同じ体重でも相対的に軽いことでしょう。
      体重だけが軽く、VO2MAXは高いけどパワーが無ければただの貧脚と揶揄されるように、パワーが出ているか?が重要だと思います。
      パワーが出ているが、その割に体重が軽いということがVO2MAXが高くなる傾向が強いということです。
      きっと、ツールに出ているスプリンターは、日本のクライマーより速いと思います。
      VO2MAXが同じなら、体重が重い方がパワーが出ていることになるからです。

      問題は、「VO2MAXが十分(ある程度)高いのに遅い人」を速くする、あるいは「ある程度速い人のVO2MAXを更に上げる」にはどうすればよいのか?というところです。
      それが世界レベルに達する為に求められる知見だと思います。

      突き詰めていくと、ある所で矛盾が生じます。
      VO2MAXがいくら高くても遅ければ(負けてしまうのであれば)意味がないのではないか?
      VO2MAXがそのレベルの中でそこまで高くなくても速ければ(勝てるのであれば)そこまで問題ではないのではないか?

      じゃあ、勝つためにはもう少し速いスピードで我慢できる持久力があれば・・・と考えるのが長距離系の人間の心理ですが・・・
      そうなると、求められているのは「より強い持久力」なのか「もっとスピードが出ること」なのかわからなくなるのです。

      VO2MAXが高いことはいいことですが、同く高い水準の人が集まると、「別な何か」が勝敗を分けるようになります。
      そこが、持久力が高い人の中で、よりスピードを求める話になるわけです。

      VO2MAX「だけ」が勝敗を決めるわけではないというのが、意外と抜け落ちて神格化されている所に「誤解」があるのではないでしょうか? という記事でした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です