最近、風邪をひきまして、日々の仕事や気候などの変動ストレスで案外弱っているんだなと思う今日この頃。
トライアスロンのシーズンも、いい時期はあっという間に過ぎてしまいますね。
・・・今思ったけど、どの時期がいい時期なのでしょうか??
初夏の水が冷たいけど比較的涼しい時期?
真夏の炎天下でまさに耐久!って感じの時期?
秋の過ごしやすい気候でのレース??
ともかく、半年程度のシーズンも終わり、また半年程度の準備期が始まります。
来シーズンに飛躍をするためには、冬季シーズンで基礎をいかに大きくできるかにかかります。
そこで、トライアスロン選手に是非取り組んで欲しいトレーニングが「ウエイトトレーニング」です。ウエイトトレーニングというと、必ずイメージされるのは、
「ガチムチ」「重くなる」「持久力が減る」「速くならない」
というネガティブなイメージです。
少なからずそれらのイメージは間違っていません。
ではなぜ、ウエイトトレーニングで効果が出る人と出ない人が居るのでしょうか?
その違いは、
「筋肥大した筋肉を、ちゃんと使える形に適応させなかったから」 です。
ウエイトトレーニングで一番目に見える部分が、肥大です。
一見すると、パワーが上がり、いかにもスピードが出そうに見えます。その一方で、重くなることで持久力が低下することも考えられます(しかし、実際は重くなることだけが持久力の低下の要因ではない)。
そこまで肥大させないとパワーやスピードが上がらないでしょうか?
世界シリーズ戦を上位で戦う海外勢を見ると、明らかに体が大きいです。
ボディビルディングの様な鍛え方でないにしろ、少なからず取り組んでいないと、あそこまで肥大はしないと思います。
しかし、お分かりの通り持久力は十二分にあるようです。
さて、上記のネガティブな面を消しながら、海外勢の様にしっかりと効果を出すにはどうしたらよいのでしょうか?
効果が出ないのは、肥大させるのみで終わっているから。
本当に適応させるには肥大させた後に、「ハイスピードでの力発揮」のトレーニングが必要です。
どういうことかというと、ウエイトトレーニングでの筋への負荷は、実際の動きとかけ離れた負荷になります。
特に、ゆっくりとした動きで、関節に大トルクを発揮させるような動きは、トライアスロンの運動の中には、極端に重いギアを低ケイデンスで踏むくらいのものでしょう。
しかし、そんなシーンはレースでもほとんどないと思います。
ケイデンスも90~100rpm程度でしょうから、その動きのペースでできるだけ筋力発揮できることが、パワーアップのカギです。
また、そのできるだけ筋力発揮をしながらレースの目標時間維持できることが、持久力の向上にもなります。
そこまでできて、初めて一回りパワーが強くなったとなります。
そうなってくると、ウエイトトレーニングの取り組み方も工夫しなければなりません。
ウエイトを導入する目的は
「筋力や筋量の基礎を(筋=出力デバイスとして)養成すること」です
具体的にどういう風にするのかというと、大きく3種類のトレーニングパターンを用います。
1:最大筋力養成
RM:最大反復回数=全力でやってその回数しか挙げられない重量で、人によって異なります。
※全力でやれば10回挙がるけど、8回で止めたという状況は8RMでなく10RMの重量で8回やっただけです。
最大筋力の養成は2~4RMで実施します。
「筋肥大の為には10RMというのが定説」と、ネットや本では出てくるので、その重量では重すぎるのではないかと思うかもしれません。
しかし、実際にやってみればわかることですが、仮にセット数が少なくても、初めの頃は歩けないくらい、継続的にやっても、筋肉痛が出ます。
筋肉痛が出るということは、筋線維が損傷し、超回復、筋肥大が期待できるということです。
問題点としては、重いので、フォームを相当に意識し、習熟しないとケガのリスクもありますが、挙げ切れず、ラスト1回を失敗したとしてもそれまでに負荷は掛かるので、結果的に回数やセット数の割に効果は高いと考えています。
2:筋肥大と筋持久力養成
5~8RMで実施する。
古典的な教科書やネットの情報では10RMと書いてあるが、別に間違いではありません。
筋疲労を引き起こして、乳酸を発生させて筋内pHを下げることで筋肥大や筋持久力が向上します。
あるいは、速筋線維が疲労で機能しなくなってきて、遅筋繊維も疲労し始めるということで、遅筋繊維にも負荷が掛けられるということで、筋持久力向上が期待できます。
つまり、回数が多い方がエネルギー供給の観点から確実に乳酸を発生させて筋内pHが下がる率が高く、全ての筋を疲労させることができます。
それさえできれば、10回という回数にこだわる必要はないのです。
10RMが支持されているのは、10回という区切りの良さ、筋に燃えるようなきつさ(バーン)が確実に感じられる、多からず少なからず、易からず難しからずという精神的な部分が支持されているようです。
しかし、ここで考えて欲しいのは、競技への転化です。
わずか10回でオールアウトする事が(必要が)トライアスロンにあるでしょうか?
数セットやったとしても、ペダリングが数十回でバイクセッションが終わるでしょうか?
違いますよね?
逆に、実践を考えて超軽いウエイトで1セットあたり50回も100回もやるのはどうでしょう?
数セットやったとしても、それでもランやバイクは50歩や100歩で終わりませんし、時間もかかる割に、負担も掛かりません。(効果も五十歩百歩的な。)
それなら多めに水でも背負ったり、坂を上ったりして1時間走ればウエイト以上の効果を実際の動作で満たせませんか?
これこそ持久系の人が陥りやすいウエイトトレーニングの罠(というか穴)!
実践で補えることは実践で工夫してやればいいのです。
ウエイトを導入する目的は筋力や筋量の基礎を(筋=出力デバイスとして)養成することなので、5~8RMの程々重くて、短時間に追い込むというところがミソとなります。
これはいわば、30秒間の全力ペダリングみたいなもので、実際に、競技としてそういうシーンが要求されなくとも、瞬発や筋持久の基礎的な能力として持っていなければ、小さくまとまり、他の能力も伸びないのです。
これをトレーニングの全面性の原則といいます。
3:スピード養成(爆発的筋力養成)
このトレーニングをすることで、今までしてきたウエイトトレーニングを実践に転化できるです。
逆に、これをしないと、ウエイトトレーニングの効果を転化することは難しいです。
力-スピード曲線なるものがあります。
これは、筋力と速度の関係を示したものです。どういうものか見てみましょう!
よくわかりずらいですが、速度が正の速度で高くなるほど筋力は発揮できなくなります。
一方で、正の速度が低い程高まり、ゼロ(アイソメトリック)から、負の速度(引き延ばされる=持って行かれる:エキセントリック)の領域ではさらに高まります。
また、パワーは力×速度なので、発揮されるパワーも組合せで変わります。
理論では、最大パワーは最大筋力(=1RM)の30%で全力のスピードで発揮されると言われています。
なので、非常に重量自体は軽いです。
問題は、そこで全力のスピードを発揮しなければならないということです。
ゼロ(静止)状態から、一気に全力で急加速させてスピードを出す意識が必要です。
しかし、これも実践的でない事は容易に想像できます。
短距離でも長距離でも、スタートの時しか静止状態から加速ということはありません。
しかも、長距離であれば、急加速など必要ありません。
では、実践的なトレーニングとはどういうものでしょうか?
答えは簡単。
「切り返し動作をクイックに行う」ことです。
1RMの30%となれば、相当軽いので、操作はしやすいと思います。なので切り返しの操作もうまく行くと思います。
例えばクリーンやスクワットでは、おろすスピードを少し速めて、ボトム姿勢でビタッと急激に止めます。そこでおわらず、更にできるだけ速くウエイトを加速させてスタート姿勢まで戻ります。
軽いのでジャンプもできる人は効果があるかもしれません。
ウエイトにまだ慣れない人は、ジャンプ(垂直跳び)などでもよいと思います。
この力-速度曲線を考えると、バイクのケイデンスを考えることもできるかもしれません。
ウエイトが挙がる人でスピードを養成するトレーニングをしていない場合、ケイデンスを下げた方がパワーが出る可能性があります。
逆に、ウエイトをしていなくて、軽い負荷でクルクル回す人は、低ケイデンスでパワーが出せません。
この効率点をどこで取るかがケイデンス議論の根幹となるかもしれません。
ウエイトトレーニングをするには、以下の用具があると安全に取り組みやすくなります。
・ウエイトベルト
(ギチギチに締め上げるのと、海外サイズなので1サイズ小さいぐらいがいいです。)
・ストラップ
コウタは使っていませんが、握力に自信がない人や、手のひらの皮がむけやすい人はいいと思います。
・チョーク(リキッドチョーク)
滑り止めです。最近はリキッドタイプがあるんですね。
これで滑らずしっかり握れます。
※粉タイプも液体タイプもジムで 使用していいか問い合わせましょう。
・ウエイトリフティングシューズ
高いですが、安定性=安全性は飛躍的に高まります。
履いたインプレッションはこちら。
ウエイトトレーニングが一般に向かない理由は、
「基礎の養成だから」
重けりゃ速くなるのではなく、付いた筋肉をどう生かすか?
それが大事なのではないでしょうか?